不登校の原因と解決策を解説・日常生活や親の対応方法とは

中学生の学習

「子供が学校に行きたくないと言い出した」

「不登校の原因って何?」

「不登校の解決策は?」

など疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか?

お子さんが「学校に行きたくない」と言い出してそれが長期間続くと心配ですよね。現在の不登校の状況や原因、家庭でできる日常生活の対応や解決のためにできることについてお伝えしていきます。

不登校とは?どのような状態をいうの?

「どのくらい休んだら不登校になるのか」「不登校の定義って?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?数日休んでいる場合や断続的に休んでいるなど、様々なケースがあるでしょう。

不登校について文部科学省では次のように定義しています。

不登校とは

何らかの心理的・情緒的・身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席したもののうち、病気や経済的な理由によるものを除いたもの

出典:文部科学省 不登校の現状に関する認識

お子さんが年間30日以上学校を休んでいる場合(病気や経済的な理由を除く)は不登校とされます。この場合、家庭では様々なサポートなどを検討し、問題に向き合う必要があります。

社会での不登校の現状とは?

文部科学省の令和3年度の報告によると、全国の小学校~中学校の不登校児童・生徒数年々増加し244,940人となっており、9年連続で増加しています。児童生徒1000人当たりの不登校児童は25.7人となっており、小学生は学年が上がるごとに増え、最も多い小6で約25,000人。中学生になると最も多い中3で6万人近くにものぼります。この数字から見ても不登校は身近にある問題と言えます。

出典:文部科学省令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

【原因と解決策】小・中学校における不登校になる要因とは?

それでは、どのようなことがきっかけで不登校になるケースが多いのでしょうか。

文部科学省の調査によると、不登校になる主たる要因の最も多い回答が「無気力・不安」で全体の49.7%を占めていました。その他にも、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」9.7%や「学業不振」5.2%、「生活リズムの乱れ・遊び・非行」11.7%などがありますが、「無気力・不安」が突出して多いことがわかります。

出典:文部科学省令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

小学校・中学校別 不登校原因

小学校 

1位「無気力・不安」49.7%

2位「親子の関わり方」13.1%

3位「生活リズムの乱れ・遊び・非行」13.1%

4位「いじめを除く友人関係をめぐる問題」6.1%

中学校

1位「無気力不安」49.7%

2位「いじめを除く友人関係をめぐる問題」11.5%

3位「生活リズムの乱れ、遊び、非行」11.0%

4位「学業の不振」6.2%

小学生では、「無気力・不安」に次いで、「親子の関わり方」「生活リズムの乱れ・遊び・非行」といった家庭に関わるものが原因として多くなっています。これは、小学生は保護者との関わりがまだ密なため、家庭での生活の乱れやストレス、家庭環境が原因で不登校に発展してしまうケースが多く見られます。

中学生になると学校生活に関わる「いじめを除く友人関係をめぐる問題」や「学業の不振」が原因として増えてきます。これは、小学生よりも勉強や人間関係が複雑になり、思春期・反抗期といった気持ちの不安定な時期に学校や家庭、友人との関係にストレスを感じてしまうことが原因と言えます。



不登校の原因とタイプ別の解決策とは?

子どもが不登校になった場合、その原因によって解決方法は異なります。それぞれのタイプごとに原因や解決方法を見ていきましょう。

文部科学省が挙げている不登校状態が継続している理由は以下の7つがあります。

不登校継続の理由

・学校生活上の影響

・遊び・非行

・無気力

・不安など情緒的混乱

・意図的な拒否

・複合

・その他

出典:文部科学省 不登校が継続している理由

上記のような原因の出どころは4つのケースに分類できます。

学校が原因学業不振成績が上がらない・勉強がわからない
いじめ・対人関係嫌がらせをされる・友達と上手くいかない
環境の変化 進学や進級新しい環境になじめない
家庭が原因家庭内不和・貧困家庭で居場所がない・不満がある
極端な放任・過干渉放っておかれている・すべてに口出しをされる
環境の変化 引っ越し・離婚など新しい環境になじめない
本人の精神的な原因うつ病・不安障害など無気力・不安・朝起きられない
その他理由がはっきりしない様々な原因が複合的に起きる・何が原因かわからない

学校生活に原因がある場合

不登校の原因として学校での生活で問題を抱えているお子さんがこれに当たります。学校でのいじめは社会問題にもなっていますが、実際には「いじめ」が原因で不登校になっているケースは小・中学生の不登校児童全体の0.2%前後となっており、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「学業不振」「入学・転編入学・進級時の不適応」などの方が不登校の原因になりやすいというデータが出ています。しかし、実際は学校や親に相談できていない、いじめと認められていないなどのケースで本人が悩んでいる場合もありますので、実際は「いじめ」が原因のケースはさらに多くなっている可能性があります。

小学校高学年や中学生になると勉強内容が複雑になり、「勉強についていけない」「点数が上がらない」など学業不振に悩むことで不登校に繋がるケースが増えてきます。その場合は学校以外でも勉強をサポートできる体制を整えましょう。家庭でのサポート、塾、フリースクール、通信教育など、お子さんの状況やペースに合った環境整備が必要です。

友人関係をめぐる問題については、中学生になるとより原因の一つとして増えてきます。学校や学校以外でも友人や先輩などと関わることが増え、進級や進学によって友人や環境も変わります。特にSNSでのやりとりなど親や学校の目が届かないところでトラブルになるケースが見られます。友人関係をめぐる問題を解決するためには、家庭でお子さんが不安や問題を抱えている時に安心して話せる環境があることが重要です。日ごろから話しやすい環境を整え、トラブルになった時にすぐに親などに相談できる関係を築きましょう。また、学校でのことは学校との連携も大切です。お子さんの様子がおかしいなど不安を感じたら学校でトラブルを抱えていないかなど先生に相談しましょう。

学校生活上の影響で不登校に発展するケースは、学校生活での不安やトラブル、問題点についてお子さんが家庭や学校で相談できないままに深刻化してしまう場合が多いため、お子さんが何かあった時にすぐに相談できる環境を作っておく、様子がおかしいなと感じたら声をかけてみるなど、お子さんが安心して話せるように心がけましょう。

子どもが安心して話せる環境づくりについての過去の記事はこちら→子どもの話を聴くときにやってはいけない親のNG行動と聞き上手になるポイント!

家庭生活に原因がある場合

家庭内での不和や家庭内暴力、極端な放任・過干渉、離婚・再婚・引っ越しなどによる環境の変化が原因の場合がこれに当たります。家庭内での問題は、子どもだけでは解決できない大きな問題であり、学校の先生や周囲の人に気づかれにくく、問題が大きくなってしまうケースが多く見られます。

思春期や反抗期など子どもの精神面でも不安定な時期に、多くの時間を過ごす家庭での問題は、子どもの成長にとって大きな影響を与えてしまいます。家庭での生活リズムの乱れは不登校原因でも2番目に多い「遊び・非行」に繋がりやすくなります。

家庭での極端な放任や、家庭環境が良くない場合、学校で居場所がないなどの場合に、問題行動を起こしたり非行グループに入って学校に登校しなくなるケースです。遊びや問題行動を繰り返す中で、その中に自分の居場所を見つけ、不登校になってしまうケースが多く見られます。これは、家庭などに居場所がない、不満を感じているなどの場合に「周りに認められたい」「居場所が欲しい」「大切にされたい」という想いから問題行動に走ってしまうことが多いためです。

また放任とは逆に、親からの過度な期待やプレッシャーといった過干渉が家庭内の不和や、子どもへのストレスに繋がるケースがあります。これによって、学業面や部活、学校生活での失敗やトラブルに直面した時に、不登校に陥りやすくなります。

過干渉に関する過去の記事はコチラ→「過保護」と「過干渉」はどう違う?「過干渉」な親が子どもへ悪影響なワケ

問題行動や反発は、「理想の子どもでいることへの反発」であることが多く、子どもの学業面などだけを褒めるのではなく、「子ども自身」を褒めて認めてあげることが大切です。子どもが何に対し不満や不安を抱えているのかに向き合い、信頼関係を築くことが大切です。

家庭内での問題は周囲に相談しにくく、問題が大きくなってしまうことが多いため、家庭でだけでの解決が難しいと感じた場合は抱え込まずに学校や支援機関に相談し、サポートを活用していくことも手段として有効です。

本人の精神的な原因

不登校の原因として、うつ病や不安障害、発達障害といった「発達障害や精神的なものが原因」となる場合があります。

発達障害の特性によって学校の環境にうまく適応できない、学習についていけないなどの場合や、過度のストレスでうつ病などの精神的な病気を発症する場合です。これらが原因の場合は、本人の心身の健康をまずは第一に考える必要があり、無理強いをするなど間違った対応をすることで悪化してしまう場合もあります。

医療機関の受診や、適切な支援の活用、周囲の理解が重要になるため、専門機関に相談して対応する必要があります。校内での支援学級や、カウンセラーなど個別に最適な環境を整えてサポートをしましょう。

原因がはっきりしない場合

ある特定の原因があるわけではなく、様々な原因が複合的に絡み合って不登校になる場合があります。この場合は原因特定が難しいため、専門的な知識を持ったカウンセラーや専門機関で本人の気持ちや状況を考慮してサポートする必要があります。

不登校原因の最も多い「無気力・不安」は「原因がわからないけれど不安を感じる」「なぜか無気力になる」などのケースも多いため、まずは少し時間を置きながらサポートをしていきましょう。

朝起きて「原因がわからないけれど学校に行く気が起きない」という状況に焦りを感じてしまう保護者も多いでしょう。「どうしていきたくないの?」「なんでいけないの?」と原因を追究したくなる気持ちになるのもわかりますが、「本人も原因がわからない」という状況があるということも理解しましょう。

学校生活での気力を維持することが難しい場合は、教育支援センターや通信教育の活用、フリースクールへの転入なども手段の一つとして考えてみましょう。お子さんのペースで学べる場があるということを知っていることで、親子で焦らずに状況に向き合うことにも繋がります。

このような場合は、親子で焦りを感じたり不安を感じて、状況から抜け出せない場合も多いため、専門家の客観的な意見や支援を活用しながら状況を整理していくことも必要です。


【原因と解決策】不登校の子どもに対する家庭での対応 4つのステップ

子どもが不登校になった時に、家庭ではどのように対応するべきか4つのステップで見ていきましょう。

Step1 お子さんの現状を把握し受け止める

不登校になった、または休みがちになっているお子さんは、「行きたくてもいけない」「行かなければいけないのはわかっているのに行けない」というジレンマを抱えている子も多く、不安を抱えています。

「わが子が不登校かもしれない…」と思った時に認めたくない、早く学校に行かせたいという親御さんも多いでしょう。しかしながら、ここで無理に「学校に行きなさい」と無理強いをしてしまうと、子どもが「理解してもらえない」と心を閉ざしてしまう場合もあります。

不登校になっているお子さんにどのように接すればいいかわからずに、腫れものに触るように放置してしまう保護者の方もいます。また、そもそも放置が原因で不登校になっている場合もあります。放置していると、子どもは「親は自分に対して興味がない」と心を閉ざしてしまいます。「困っている時にいつでもそばにいるよ」と子どもがわかる距離感が大切です。「親は自分に関心を持っている」「困っていたら助けてくれる」という安心感が子どもの精神面にも安定をもたらします。

近年では不登校児童の数は24万人を超え、他人ごとではなくいつ自分の子どもの身に起こってもおかしくありません。まずはお子さんの現状を把握し、お子さんの気持ちを受け止めることからはじめましょう

一番近くにいる理解者として、お子さんの気持ちを尊重し、目を見て話しを聞ける環境を作りましょう。

Step2 家庭に居場所を作ってあげる

居場所とは、自室やリビングなどのスペースだけでなく、「安心して過ごせる環境」の事です。

不登校になった時に、「早く学校に行きなさい」など無理に行かせようとすると、お子さんが家庭で居心地の悪さを感じてしまいます。家庭が安心して落ち着ける場所であることで、精神的にも安定します。家庭環境に原因がある場合は、まずは保護者が率先して子どもが安心できる環境を家庭内に作ってあげましょう。

Step3 生活面でのリズムを整える

不登校の状況になった場合、ある日急に改善するということは少なく、階段を上るように徐々に改善していくことが多いでしょう。そのため、焦らずに家庭での生活習慣やリズムなどを見直しながら一歩一歩進みましょう。

生活リズムの乱れは不登校を長引かせる原因になります。学校に行かないからと言って夜遅くまでゲームをしていたり、勉強を何もしなかったりすると、生活のリズムが整わず、不登校が解決して再登校する場合にも「朝起きられない」「勉強がついていけない」などの理由で不登校が再発する場合があります。

家庭内では体調を考慮しながら生活のリズムを整えて過ごすことが大切ですが、無理強いはせずに、少しずつ小さな目標を決めて達成していくことで、日々の生活にメリハリが生まれます。

「決まった時間にご飯を食べる」「散歩してみる」「寝る時間を決める」など親もサポートしながら生活のリズムを整えていきましょう。

Step4 不登校を解決するために連携する

不登校になると家庭内で親子で悩んでしまったり、焦りを感じてしまったり親子で思い詰めてしまうケースも多くあります。「なんで行けないんだろう」「なんでうちの子だけ…」など思い悩んでしまう前に、学校や専門機関に相談しましょう。

先述の通り年間30日以上の欠席が不登校と定義されていますが、数日休みが続いただけでも保護者の方にとっては不安に感じるものです。全国でも多くのお子さんが不登校になっているため、支援機関やサポート体制も様々なものがあります。

子どもが「学校に行きたい」と思った時に再登校がスムーズにいくように、学校とも綿密に連絡を取っておきましょう。登校して保健室で過ごすだけで出席扱いになったり、最近では文部科学省が「ICT等を利用した学校以外での学習を指導要録上の出席扱いにする」という決定も出しています。

「学校に行かないことが悪いことだ」という意識を持つのではなく、辛いことや不安・ストレスから一時的に離れる選択肢として不登校を親子で受け入れて、学校ではない他の選択肢を考えるのも一つの手段です。

フリースクールや支援機関など、お子さんの状況によって活用できる選択が様々あります。自分らしく生きるためにオンラインスクールなどで学習を進める人も増えています。


不登校の原因と解決策 まとめ

近年不登校児童も年々増加傾向にあり、様々な原因で学校に行けない状況になってしまうことがあります。お子さんが不登校になった場合、心配や焦り、不安を感じる保護者の方が多いように、お子さんも不安や焦りを感じています。

まずはお子さんの気持ちに向き合い、エネルギーの回復期間と捉え、安心できる環境で過ごせるようにサポートしましょう。


プロフィール
この記事を書いた人
any

自身も子育て中の中学生と小学生のママ。子どもの家庭学習に寄り添い偏差値30upを実現し、教育・生活・医療・金融など様々なジャンルのWebページの制作に携わってきたアドバイザー&ライター。金融関連や介護事業などの仕事を経て、複数のブログやSNS運営に携わり、おすすめの本や子育てに関する耳寄りな情報を発信中!

anyをフォローする
スポンサーリンク
スポンサーリンク
中学生の学習子育て小学生の学習